今回は不肖Kevinが、BeTrip用に作っている曲について、ちょっと長いけど呟かせてください。

メンバーでも知らないかもしれませんが、ボツになったりお蔵入りしている曲なんかを含めると、たぶん倍以上の曲のデモを作ってきたわけですが、2000年あたりから、自分の中でBeTripの音楽に対して求めるものに、なんとなく変化が出てきているんですよ。
でも、ツインギター・バンドであることを、最大限に利用したいという気持ちに変わりは無いんですが・・・その点に関しては、むしろ今まで以上にメリットを見出したいと思っているんです。

BeTripには、80年代頃のHR/HMへの自分なりのオマージュと、ある部分における自分のセンスや技術の可能性を求めています。
その手法として、比較的メロディアスな部分・・・例えばコード・ヴォイシングであったり、メインリフとサブリフの関係や、オブリガード、テーマやキメに至るような部分までを、主にギタープレイという切り口から見出し、強調することを探求してきました。

でも一方では、色々な決まりごとを作りこんでいく障害っていうのもあって、例えばインプロヴァイズされる部分が少なくなってしまったりして、ジャムセッション的な要素を好むプレイヤー(自分がそうなのですが・・・)は辛くなってしまう事があります。
それでもBeTripの場合は、フリーな部分を増やして猥雑(というか混沌と言うほうが正しいか?)にする事よりも、少しばかり我慢してでも、ある程度計算された様式美的な部分を尊重しようと思いました。
だから、煩雑な展開を見せる曲であっても、小節の割り振りなんかを決め込んじゃって、ジャム的な要素はほとんど残していない事が多いです。

こういった手法を通じて出来上がったバッキングの流れを聞いて、自分以外のメロディメーカーが全く違うセンスでメロを乗せたときに、果たして何ができるのかと・・・これも面白い作業です。
見方によっては、「オマエのイメージなんだから、オマエが曲まで作れよ!」っていう考え方もあるでしょうね・・・それはそうなんだけど・・・でも、興味本位でもあるのだけれど、もっと客観的に見てみたい(聞いてみたい)というのもありまして・・・それなら、手抜きしてます、っていうことでメロディメーカーにオマカセしてます。(実際は、なんとなくメロディのイメージを持ちながら作っている事も多いです。)
とはいえ、どうしても譲りたくないメロ部分がある場合(例えば、サビ先行で出来上がった曲なんか)には、それを押し通しちゃう事も、間違いなくありますが・・・(苦笑)

そんな訳で、今までのBeTripは、誰がなんと言おうと(いくらブルージィなギターを弾こうと)、常に頭の中には、NWOBHM前夜のイメージがありました。
でもそれは、具体的にどこそこのバンド、みたいなイメージとは別のものです。
なぜなら、どこそこのバンド、みたいな事を言われちゃったら、そこで終わっちゃいますからね。
オリジナルでありたいっていうのがBeTripの基本だし、今のスタイルになってからは、結成前夜のセッション以外ではカバーも演奏してませんからね・・・頑固ですね。

・・・えーと、何だっけ。
あ、変化しきているな、っていう話か。
それを一言で言うのは難しいんですが、ざっくり言うなら、ちょっと猥雑な部分が欲しくなってきたな、と。
今までの話には反駁しちゃいますね。
でも、BeTripのイメージもあるので、手のひら返したような事はしたくないし・・・その度合いがなかなか難しい。

具体的手法のひとつとして考えられる事は、様式美との対比においては相反する要素になっちゃう懸念があるんだけど、ジャムセッション的な要素を盛り込むという、手っ取り早い手法がありますね。
安易なアプローチではあるけど、時として意外な展開を生み出す事があるのは事実ですね。
でも、ほとんど時間の浪費に等しい内容になってしまう事が多くて・・・それじゃ意味が無いからな〜。
なんとか上手い事出来ないかな?って、常々考えちゃう事柄のひとつです。

もうひとつは、今までに無かったアプローチを使ってみたらどうかな?と。
たとえばそれはクラシックやジャズであったり、それらの楽曲に見られる理論的な部分から、完全和音よりはテンションによるヴォイシングの補完といった、センスの部分までに及ぶのですが・・・。
これらを求める欲求はあるのですが、でもそれらを追求するんじゃなくて、あくまでエッセンスとして消化できたら面白いかな、と。
BeTripが求めている音楽は間違いなくロックなのだけど、その中にこういった匂いがあればいいな、っていう感じで・・・それに浸かっちゃうんじゃなくてね・・・ロックである以上、ジャスやクラシックとは一線を引いておきたいし、なによりロックは、まずはリズムありき(主に縦割りな)、だと思うので。

変拍子っていう手法も考えられますね。
必要があればいくらでも使いますけど、乱発するつもりは無くて、自分の中にある、あるひとつのゴール(アフリカあたりの音楽にみられるポリリズム等)に至るまでのプラクティスなのかもしれないな、と思うことがままあります。
もっとも、このアプローチが間違えていたら、何かの間違いでもない限りは、まずゴールには至れないんですけどね・・・まぁこれは、ごくごく私的な事柄なですね。

閑話休題
変拍子を取り入れた曲には、最も新しい曲である「題名不明(苦笑)」や、「Moonlight Woman」の間奏部分のテーマ、「Cry for Love」のリフ、「One Night」の間奏などがあります。
でも意外性という点ならともかく、必要性からの変拍子だったか?と問われるとちょっとキビシイかなぁ・・・ま、もう作っちゃったから、よしとさせてくださいね。

そろそろ総括しましょう。
たぶんBeTripに求めているのは、言い換えれば『違和感の無い心地悪さ』あるいは『心地よい違和感』という事なのかもしれません。
一応に流れているリズムを壊してみたい、とか、およそロックっぽくないテンション感を出してみたい、とか・・・でも、その上で、無理なくメロディが乗っかっているような曲が、理想なんだと思います。
それでキャッチーであるなら、願ったり叶ったりですね。
で、それらが、いかにも作り込んだ感じではなくて偶然発生したような、そんなところに猥雑な感じが出ないかな?と。
あまりにも望むものが多すぎて理想が高いように思えるけど、最終的に頼るのは、偶発的に発生した何か・・・ヒラメキとでも言おうか・・・なのだと考えています。
偶然でいいんだけど、何かリズムがあって、その上で琴線に触れるようなリフが弾けちゃったり、メロが鼻歌で出てくればしめたものですよ。
でもなかなかそれが出てこないから、結果として、色々言い訳がましい理由をつけて既成の感覚を崩してやる事で(それをアレンジとも言うんだが)一応の形をつくっているのですが・・・でもこの手法って一種の算数みたいなもんで、そんな小手先の手段では、どうしたってヒラメキには勝てないんですよね。
一歩引いてみると、こういう考え方やアプローチ自体が、すでに80年代的な発想とはかけ離れているのかもしれないけど、要するに曲中いろいろやっている(演奏している)割りには、ぱっと聞いた感じであの時代っぽく出来ればいいな、と。
何しろ立ち位置そのものが、もうリアル80年代じゃないですからね。
どっぷりと浸かってしまうよりも、最初に書いたように、オマージュとしてエッセンスを残す事の方が今時的だし発展的に思えるのです。


まぁ、今後のBeTripにご期待ください。

May 2004
Text by Kevin